今回のテーマは「間取り表記の中級編」です。
間取り図を見た時に現れる略語の表記について書いていきます。
これは新築一戸建ての際に図面に書かれる表記とも共通しています。
基本的にはお客様にわかりやすく表記しているはずですので、各名称を漢字やカタカナで書かれていることも多いです。
しかし、スペースの都合や慣習によって略語で書かれることも普通にあります。
打ち合わせの際にこれらの表記を理解していることで、わざわざ説明してもらうという時間を省き本当に話すべきことに時間を使えます。
また、間取り図や図面をより深く読むことができ、思わぬ勘違いを防ぐこともできます。
【LDK】:リビング・ダイニング・キッチン
「LDK」とまとめて書かれている場合、それはリビングとダイニング、キッチンの機能が揃った一つの部屋ということです。ただし、同じ一つの部屋でも「K」だけはコンロやシンクのある位置に書かれている場合もあります。
注意すべきは広さの読み間違いです。
「LDK」が13畳と書かれている場合にはキッチンの広さも含まれていることを忘れないでください。
他の見取り図で「LD」が10畳と書かれている場合、比較するとLDK=13畳の方が広そうに思えます。
しかし、キッチンが4畳ある場合は「LD=10畳」+「K=4畳」で14畳となり、実はLD=10畳の方が広くなります。
また、「LDK」には明確な境界線というものは存在しません。
そのため図面の数字や打ち合わせの言葉をそのまま信用するのではなく、リビングとして使える範囲は何畳でダイニングとして使える範囲は何畳で、と実際に使う場面を想像して比較しましょう。
リビングの先にもう一部屋ある配置の場合は、その通り道分リビングが狭くなる可能性もあるでしょう。
【和室・洋室】:部屋
「和室」と「洋室」はともに寝室として利用できる部屋を表します。
「和室」は主に畳の部屋で、間取り図でも畳の模様で描かれることが多いのですぐわかると思います。
「洋室」は主にフローリングまたはカーペットやクッションフロアの洋風の部屋で、間取り図では無地で描かれます。
「和室」「洋室」ともに「寝室」と表記されることもありますし、「和室」は「仏間」、「洋室」は「洋間」と表現されることもあります。
様々な表記がされる可能性のある部屋ですが、最も難しく書かれたとしても「Bedroom」程度かと思いますので、読むときに困ることはないでしょう。
また、何も書かれずに単に「○畳」・「○帖」・「○平米」・「○㎡」と書かれている場合もあります。
和室は「畳」で洋室は「帖」と使い分けられることもありますが、近年はあまり気にせず使われているように思います。
「LDK」と違い、シンプルな構造の部屋なのでこれらの数字は素直に比較することができますね。
【UB・WC】:風呂・トイレ
「UB」はUnit Bathの略で風呂を表し、「WC」はWater Closetの略でトイレを表します。
どちらも間取り図には風呂やトイレの絵も描かれるので、どういう配置の風呂やトイレかまで理解することができます。
これらは各メーカーから出されている図面用のものが使用されることが多いので、かなり正確なものである可能性があります。
ちなみにユニットバスとは、浴槽や床・壁・天井が一つのユニットとして作られたお風呂のことです。よくある間違いとして、風呂とトイレがユニットになったものと理解されていることがありますが、現在ほとんどのお宅で使用されているものがユニットバスになります。
「Water Closet」ですのでこちらは間違いなく水洗トイレです。
ただし、洋式と和式には分かれます。
現在はほとんどが洋式ですので表記されないことも多いですが、古いアパートなどですとトイレの場所に「洋」「和」と書かれていることがあります。
これは「古いアパートですが洋式です」とアピールしているケースと言えますね。
【W・R・洗・冷】:洗濯機・冷蔵庫置き場
「W」はWashing machineのWで洗濯機置き場を表し、「R」はRefrigeratorのRで冷蔵庫置き場を表します。
「W」の場合は日本語で「洗」、「R」の場合は「冷」と書かれることが多いです。
洗濯機と冷蔵庫はともにそれなりのスペースを必要とします。また、洗濯機置き場には給排水とコンセント、冷蔵庫置き場には2m近い高さの位置のコンセントが備え付けられます。
そのため設計の段階からどこに置くかをしっかりと想定する必要のある家電となります。
アパートやマンション探しの際は、これらがしっかりと記入されていること。されていない場合は確認をしましょう。
洗濯機置き場が屋外であったり、ファミリー向けの冷蔵庫を置く想定がされていない場合も十分に考えられます。
ちなみに洗濯機の屋外置きは、メーカーの保証対象外となる場合が多いです。
【PS】:パイプスペース
頻出するものの唯一聞きなれない言葉がこのパイプスペースかと思います。
これは上下階のインフラを繋ぐパイプを数本通すためのスペースで、平屋でない限り設備としては必ず存在します。
主に上下水道管やガス管が通っており、寝室から遠く水回りの近くに設置されます。
通常は住人がアクセスできない壁の中に設置されているため、見取り図上はスペースがあるように見えますが、当然収納等で使うことはできません。
物件の中にあって我が家として自由に手出しはできないスペースということになります。
設計を行う際はこのパイプスペースを効率よくうまく確保する必要があり、また後々動かすことが難しいためリフォームの際には注意を払わなくてはなりません。
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